第186章

帰りの馬車の中で、イシスは手の中の魔法杖をじっと見つめていた。

携帯に便利な魔法棒と違い、魔法杖は人の背丈ほどもある権杖型が基本だ。材質も木や金属が主で、まれに獣骨で作られたものもある。

アリシアが選んだ一本は木製だった。落雷を受けてなお生き延び、むしろ新たに芽吹いたことで「不死木」と呼ばれる変異ユーカリ。その枝から削り出した杖身の先端には、爪のような形の留め具があり、そこに八級の魔核が嵌め込まれている。――この杖で最も価値がある部分だ。

魔核とは、魔獣の体内で魔力源が結晶化した特殊な核のこと。魔核1つが、同等級の魔獣1体に相当する。つまり、この杖に据えられた八級魔核は、人間が手にでき...

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